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最高裁判所第三小法廷 昭和34年(あ)1860号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人清水正雄の上告趣意第一点について

所論は、単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(関税法一一八条一項、二項は、ひろく同条所定のいわゆる「犯罪貨物等」は没収し、また、これを没収することができない場合または没収しない場合においては該犯罪が行われた時の価格に相当する金額を犯人から追徴する旨を規定する。そして、同条の犯人には、同法一一一条の許可を受けないで輸入した貨物について情を知って同法一一二条にいわゆる「運搬等」をした者を包含することは、同法の規定上明らかである。それゆえに、右と同趣旨に出でて一審判決の没収および追徴を支持した原判決における判断は正当である。)

同第二点について。

所論は、本件貨物が許可を受けないで輸入したものであることを知らなかったという事実誤認の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また本件について刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 高橋潔 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己 裁判官 石坂修一)

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